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研究グループ

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  • てんかんグループ

睡眠研究を志すものには、
臨床、研究の両面で高いレベルでの
トレーニングの場を提供している

小曽根 基裕

当研究班は中澤名誉教授らにより昭和56年に日本で初めての睡眠障害クリニックを設立した歴史ある研究グループです。
当初は様々な薬剤やアルコールが睡眠に及ぼす影響を睡眠ポリグラフ研究により明らかにしてきました。

平成19年に内村直尚教授に引き継がれ、レンボレキサント等の多くの新規睡眠薬やナルコレプシー治療薬の治験とそれらの本邦での導入において多大な貢献を行ってきました。研究面では身体疾患における睡眠の重要性や高校生での短時間昼寝の必要性を明らかにし、さらに精神障害患者の睡眠ポリグラフ研究により、各精神疾患に特徴的な睡眠構造や有効な薬物療法を明らかにしてきました。

内村直尚名誉教授(当大学学長)は令和3年7月に日本睡眠学会理事長に就任し、当教室は令和2年11月に小曽根基裕教授へと引き継がれています。小曽根教授の指導のもと、神経発達症や気分障害、統合失調症(紡錘波の研究)に伴う睡眠障害について、アクチグラフや新たな睡眠解析法(Cyclic Alternating Pattern法)を用いて各精神疾患の睡眠の詳細を検討し、有効な治療法についての研究を行っています。

また不眠症に対しては、認知行動療法や眠気に関する基礎研究も行っています。現在当研究班は16人の研究員を擁し、毎週ミーティングを行い、日常の診療および検査の中から生まれる疑問を元に臨床研究をベースとして、日々臨床、研究の両面で高いレベルでのトレーニングを行っています。

遂行機能や表情認知などの様々な
認知機能の評価を、各種心理検査も
交えた上で研究を行っています

小路 純央

精神生理グループは主に、統合失調症、感情障害、認知症、高次脳機能障害、発達障害の患者さんを対象としてfMRIや脳波から得られる事象関連電位のP300成分、眼球運動検査(探索眼球運動)、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)などの精神生理学的指標を用いて、注意・遂行機能や表情認知等、様々な認知機能の評価を行っています。また、各種心理検査も交えて、疾患の早期発見・早期診断(補助診断)、病状評価や薬物療法などの治療評価、社会適合能力などに関しても検討を重ね、国内外の学会や論文報告を行っています。

患者さんが感じられている主観的現象を、より客観的なデータとして「視覚化(見える化)」し、その情報をわかりやすく提供できるよう、臨床に活かせる研究を目指しています。また、近年久留米大学高次脳疾患研究所など様々な研究所や、他の診療科や医療・介護関係機関、行政機関、企業などとの産学官連携を深めており、認知症を中心に予防や早期診断、認知機能低下に伴う様々な社会的課題の解決を目的とした研究にも取り組み実践しています。

心理・社会学的視点を重視した
臨床研究を目指してきました。

内野 俊郎

当グループでは主に
①心的外傷についての治療や臨床研究
②思春期特有の課題を持つ人たちへの治療や臨床研究
③精神障害リハビリテーションの実践や臨床研究
の3つをテーマとしています。

①は国際トラウマティックストレス学会の理事(2022年5月現在)を務める大江美佐里准教授が中心となって国内外をフィールドとした幅広い臨床実践・研究を行っています。
②については発達障害を持つ人たちを中心とした支援や小児科との症例検討会を通じて知見を深めています。
③は精神科デイケアを主なフィールドとして日本精神障害者リハビリテーション学会の理事(2022年5月現在)である内野俊郎准教授を中心として臨床実践・研究を行っています。

いずれの活動も臨床心理士・公認心理師の石田哲也助教をはじめとした多職種による協働アプローチが確立しており、臨床家として実践していく若い精神科医には貴重な経験になるものと思います。興味をお持ちの方は是非一度、私たちにお声がけください。

「明日からの臨床に活かせる」
研究を目指して

惠紙 英昭

薬物療法は精神療法や心理社会的治療と並び、精神疾患治療における重要な治療方法の1つです。
今日までに数十種類にも渡る向精神薬が開発されていますが、未だ充足したわけではありません。

私たちのグループでは長年基礎研究による神経新生の制御と精神機能の関わりについて研究を行ってきましたが、近年は臨床研究にも力を入れています。最近では治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療に対し、機能的MRIを用いた治療効果の予測や炭酸リチウムによるケタミンの臨床効果の延長について、また気分障害に対するラモトリギンの増量速度による長期的な影響について検証してきました。
また臨床研究に加え定期的な抄読会の開催、国内・国外への学会へ参加することで、最新の知見に触れながらグループ活動を行っています。「明日からの臨床に活かせる」事を目標に今後も研究活動を行っていきたいと考えています。

一人一人の患者さんから学び、
臨床てんかん学を培っていく。

本岡 大道

精神科は時に精神神経科と呼ばれることがあります。神経科に属する代表疾患がてんかんになります。脳の機能がてんかん発作として、また他の精神症状として表れます。恐怖を訴える症例の脳SPECTにより扁桃核と恐怖との関係がダイレクトに観察されたり、非けいれん重積状態という特殊な発作では急に認知機能が落ち奇異な行動を起こす方を経験したりします。
てんかんを学ぶことは脳の働きを学ぶことです。すなわち、精神科の中でも脳を最も身近に感じられる分野の一つが臨床てんかん学ということになります。てんかんグループでは日常臨床の疑問に答えること、明日の臨床に役立つことを目標に臨床研究を行っています。現在、認知症とてんかんの関係性や発作前後の精神的な症状、新規抗てんかん薬の効果や副作用などの調査を行っています。また、患者さんと共に学ぶという視点でてんかんの心理教育も行っています。