診療案内_test202305
当科で扱う疾患の特徴
久留米大学精神科では統合失調症や感情障害をはじめ、睡眠障害やてんかん、認知症、不登校等の思春期症例も多く、幅広い疾患診療を行っています。また当院には精神科リハビリテーションを行うデイケアセンター、カウンセリングセンターを有しています。
緩和ケアや周産期カンファレンスへの参加、認知症ケアラウンドなど他科との連携も多く、コンサルテーション・リエゾン活動にも力を入れています。
一般的な精神科で行われる治療に加え、専門的な外来(睡眠障害クリニック、けいれんクリニック、睡眠医療外来、もの忘れ外来等)も行っています。
他院からの転院についても外来でご相談いただく形となっています。
入院治療は精神科病棟で行われます。全国の大学病院に先駆け2000年から急性期治療病棟の認可を受け、福岡県精神科救急医療システムにも参加するなど地域の精神科救急の一端を担っています。
53床の病棟には隔離室(4床)、観察室を備え、精神疾患難治例や身体合併症患者の対応を可能としています。
また、修正型電気けいれん療法(mECT)、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)クロザピン治療など専門性の高い医療も行っています。
rTMS 反復経頭蓋磁気刺激療法
反復経頭蓋磁気刺装置(rTMS)は、既存の抗うつ薬による十分な薬物療法によっても効果が認められない中等症以上の成人うつ病患者に適応される新規治療のひとつです。本邦では2019年6月に保険適応となり、徐々に治療や研究の分野で広く臨床応用されてきております。原理としては、治療コイルから流れる電流によって形成される磁場変動に伴う過電流を利用し、大脳皮質(主に左背外側前頭前野)の神経を刺激して活動性を変化させるというものです。
治療効果として、一般のうつ病患者では約3割が抗うつ薬への反応が乏しく、その非反応例のうち3~4割がrTMS療法に反応するとされております。頻度の高い有害事象として、頭痛(約10%)や刺激部の不快感(約30%)などが報告されていますが、重篤な副作用の報告は少なく(けいれん発作0.1%未満)、安全性が高いことも特徴です。禁忌事項は、人工内耳、磁性体クリップ、心臓ペースメーカーなどの存在です。治療にかかる期間は、1回40分、週に5日、合計25~30回を目安に施行していきます。
久留米大学では令和3年8月からrTMS療法を開始しており、原則入院での治療を行っています。「薬を飲んでもなかなか治らない」、「副作用ばかり出て困る」など、様々なお悩みで困っているうつ病患者さんへの一助となればと思っております。ご希望の患者様がいらっしゃればお気軽にお問合せください。
診療内容については久留米大学病院のホームページもご参照ください
Psychiatric outpatient 精神科外来での専門外来
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睡眠障害クリニック
当科の睡眠障害クリニックは、昭和56年に日本で最初に開設された長い歴史のある睡眠専門外来です。
夜眠れない(不眠症状)、朝起きられない(起床困難)、眠たくて仕事ができない(日中の過度な眠気)、夜間に異常な行動をとる(睡眠時随伴症)といった症状をお持ちの方を診察しております。
社会の高齢化は不眠症の増加を、夜型化は睡眠不足やリズム障害の増加をもたらし、今や5人に1人が睡眠に何らかの問題を抱えていると言われています。
一方、国内で睡眠障害について精度の高い診断ができる施設や睡眠専門医は限られています。当施設は、すべての睡眠疾患を取り扱う日本睡眠学会専門医療機関A型の認定を受けており、睡眠構造を評価する終夜睡眠ポリグラフ(PSG)や、眠気を測定する反復睡眠潜時検査(MSLT)を行っております。
睡眠に悩みがあると、カラダだけでなくココロの負担も大きくなります。当施設は、睡眠専門医が精神科併設の利点を生かし、精神科的な視点を持ちながら、
睡眠障害の診断・治療が行える全国でも数少ない医療機関となっています。
お困りの方がいらっしゃいましたらぜひご相談ください。 -
けいれんクリニック
てんかんは脳神経の電気活動により起こり、意識消失やけいれん、その他さまざまな発作的な症状を繰り返す疾患です。運動症状のない発作も多く、発作に気付かれていないこともよくあります。てんかんは100人に1人が罹患する割とポピュラーな疾患であり、精神科だけではなく脳神経内科、小児科、脳神経外科など多くの科が関わります。けいれんクリニックでは丁寧な問診、脳波検査や画像検査などを行い、まずてんかんに似た他の疾患を見分け、どのようなタイプのてんかんなのか診断し治療を行います。
当科には複数のてんかん専門医がおり、多くの患者さんの診断・治療に日々フル稼動しています。臨床症状を丁寧に聴取し、発作が起こる場所(焦点)を推察し、脳波と画像検査でそれが合致するか確認し、そして治療を行っていくというプロセスは臨床の醍醐味です。当科での研修では臨床てんかん学を学びます。当院は日本てんかん学会の認定研修施設であり、てんかん専門医の取得が可能です。 -
クロザピンクリニック
久留米大学病院精神神経科では治療抵抗性統合失調症患者さんに対するクロザピン治療を 行っています。
クロザピンは他のお薬で十分な治療効果が得られない「治療抵抗性統合失調症」の患者さんのための治療薬です。他の薬剤よりも有効性が高い反面、希ですが無顆粒球症のような重篤な副作用が出現する場合があるため、クロザピンを開始する際には厳密な身体管理の出来る入院治療が必用であることが定められています。
なかなか症状の改善しない統合失調症でお困りの患者さんは、まずは現在の主治医の先生にクロザピン治療についてお訊ねください。主治医の先生方にはクロザピンによる治療の説明用資料、当院でのクロザピンクリニックの予診表をお配りしております。 現在かかりつけの主治医の先生とご相談の上、クロザピンによる治療を検討される患者さん、御家族の方は紹介状をお持ちになり、一度外来受診をお願いいたします。 -
子どものこころのクリニック
「子どものこころのクリニック」は、児童精神科領域について精神科医と小児科医が協力して診療する体制づくりの一環として2007年5月に開設されました。
2022年5月現在では、精神科外来・小児科外来で診療している学童期以降の未成年の方を対象とした、多職種によるカンファランスを活動の中心においています。
精神科ではこのカンファランスが神経発達症や児童期トラウマを診療できる人材を育成する場となっています。また、精神科病棟での事例もカンファランスの対象となっており、初期研修医や精神科専攻医の教育の充実を図っています。
Internal medicine general outpatient 内科総合外来にある当科医師の関わる専門外来
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睡眠医療外来
睡眠医療外来では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を行っています。
SASは睡眠中にいびきと呼吸停止を繰り返します。睡眠が阻害され日中の過剰な眠気を引き起こすだけでなく、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)といった身体合併症の要因になります。SASの原因として加齢による筋肉のゆるみや肥満の他に小顎症などの顎形態異常や扁桃腺肥大やアデノイド増殖症などの耳鼻科疾患が関係しており、診断・治療には各診療科による集学的医療が必要です。当院では2002年5月より精神神経科(睡眠障害専門)、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、呼吸器内科を中心に連携し、SASの診断・治療に特化した専門外来『睡眠医療外来』を開設しました。毎週火曜日にチーム医療によるSAS診療を行っています。睡眠医療外来ではSASに対する治療として、CPAP(持続陽圧呼吸)療法だけでなく、マウスピース治療や適応がある方には耳鼻科的手術も行っております。 -
物忘れ外来
人口の高齢化が進み、2040年には『65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症になる』という試算が厚生労働省から出ています。認知症の方の急激な増大をふまえて、もの忘れが正常加齢によるものか、認知症等の病気によるものかを診断する専門外来の必要性から、当院もの忘れ外来は設立されました。平成15年4月より、久留米大学高次脳疾患研究所と神経精神医学講座が協力して診療に当たり、毎週木曜日の午後に予約制で行っています。
当院もの忘れ外来では初診時に、問診や神経心理学的検査、血液検査、画像検査(MRIまたはCT)を行い、精査を要する場合はSPECTやドパミントランスポータシンチ、脳波検査なども行います。必要に応じて、神経内科、脳外科、循環器内科、内分泌代謝内科、放射線科などに紹介を行い、専門的な各種検査を含め、診察から外来加療まで、総合的に対処していきます。
また、臨床治験も行っており、新しい治療法にも積極的に取り組んでいます。平成23年11月より久留米大学病院は、福岡県認知症医療センターの認定を受けており、その業務とて、
①専門医療相談、②鑑別診断とそれに基づく初期対応、③合併症、周辺症状への対応、④地域の医療・介護関係者など様々な方々への研修会等の開催、⑤認知症地域医療連携協議会、事例検討会の開催、⑥情報発信
を行っています。その他にも、久留米市と共同で『ものわすれ予防健診』を年数回行っており、早期発見にも取り組んでいます。
Other facilities その他の施設
デイケアセンター
久留米大学精神科デイケアセンターは平成元年に筑後地区の精神科デイケアの先駆けと して開設されました。
精神科デイケアは精神障害の療養をしながら医療スタッフやデイケアの仲間と一緒にさまざまな経験をする場所です。
就学準備や仕事に就く準備をしている若い10代20代の方たちから50代以上まで幅広い人たちが利用しておられ、仲間づくりをするレクレーション的な活動や対人技能を改善するSST(社会生活スキルトレーニング)、症状の再燃や悪化を防ぐのに有用な考え方を学ぶCBT(認知行動療法)といったさまざまな心理社会的治療やリハビリテーションを提供しています。精神障害リハビリテーションに精通した作業療法士、心理士、精神科ソーシャルワーカー、看護師、さらには精神科医も実際のプログラムに参加して実践しています。
他の医療機関に通院中の方も利用可能です。プログラムや利用の方法、料金などの詳しいことは0942-31-7630へお電話ください。
デイケアの詳細はこちら
デイケア週間プログラム(2023年4月~)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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AM | ・ひだまりの会* ・アルバイトグループ (洗車) |
・なんでんかんでん会* ・アルバイトグループ (洗車) |
・新入所グループ ・IMR (リカバリーと病気の自己管理) ・フレンズ |
・料理グループ ・CBGT (集団認知行動療法) ・ふれあい会 (UNO) |
・新入所グループ ・自由行動* ・クラフト (七宝焼、革細工など) |
PM | ・スポーツ | ・スポーツ ・AGRI (農園芸) |
・スポーツ ・SST (ソーシャルスキルトレーニング) |
・スポーツ ・パソコン教室 |
・スポーツ ・ヨガ |
*ひだまりの会,なんでんかんでん会,フレンズ,自由活動はメンバーさん同士が活動内容を相談して決めています。
コミュニケーションなどを目的としており、ゲーム、お茶会、お菓子作り、散歩などを行なっています。
【活動写真】
スポーツ:バレー、卓球、ソフトボールなどメンバーと話し合いながら決めています。
アルバイトグループ:スタッフと一緒に洗車を行うことで、作業行程を覚え、責任を持って作業を遂行すること、後輩への指導方法なども練習しています。
クラフト:七宝焼や革細工、ビーズ、編み物などを行なっています。写真は七宝焼の作品の一部です。
カウンセリングセンター
当センターは久留米大学病院精神神経科外来通院中の方を対象とし、心身の健康を目指す自由診療(保険外診療)でのカウンセリングを行っております。通常の面接室のほかに、児童を対象とした遊戯面接を行うための部屋(プレイルーム)も設置しています。大学病院での臨床を担うとともに、医学部医学科学生や臨床心理学研究科修士大学院生の教育、および心理職研修生の大学院卒業後の教育にも携わっています。
当科の医師は久留米大学医療センターでの診療も行っております。詳細は下記リンクもご参照ください。
久留米大学高次脳疾患研究所でも当科医師が臨床・研究に関わっています。